Qutoutiao(趣头条)は中国のニュースアプリ開発企業で、趣头条は日本語で「楽しい見出し(記事)」を意味します。
日本語ではクトウティアオ?と読むのでしょうか。
同社のアプリは日本のApp Storeでもダウンロードできます。
同社はテンセントから出資を受けている”テンセント銘柄”で、他にスマートフォンメーカーで知られるシャオミも出資しています。
今年の9月14日にナスダックに上場しました。
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Qutoutiao(趣头条)とは
QutoutiaoはAI技術を駆使してユーザー毎に適した記事やビデオを表示するニュースアプリです。
日本ではグノシーが同様のサービスを行なっており、いわゆる”キュレーションメディア”に分類されます。
日本でキュレーションメディアが話題になったのは、DeNAが運営していた「WELQ」にまつわる騒動だったので、キュレーションという言葉にあまり良い印象を持っていない方も多いかもしれませんね。
キュレーションメディアは、「決まった条件に沿って情報をまとめたコンテンツが公開されているサイト」です。最近では、多数のライターがコンテンツを更新しているサイトをキュレーションメディアと呼ぶケースもあります。
このニュースアプリに広告を掲載し、そこから収益を得るのがQutoutiaoのビジネスモデルです。
この戦略はユーザーを集めなければ話になりませんが、Qutoutiaoの凄いところはユーザーの獲得スピードとその方法にあります。
Qutoutiaoのアクティブユーザー数と利用時間
2016年にサービスを開始したQutoutiaoは、2年経たずして月間アクティブユーザー数(MAU)が4,880万人と急拡大しています。
ちなみに2012年に設立したグノシーのMAUは450万人、と市場が違うとはいえQutoutiaoの拡大スピードが異常なことがわかります。
Gunosyが実数値を公開してなかったので、ニールセンの調査を参考に記載する。
Gunosy:450万MAU最後に1日の利用時間。
Gunosy:7分余談だが、利用時間がもっとも長いニュースアプリはYahoo!ニュースで15〜16分らしい。
Qutoutiaoはなぜこれほどまでに早いスピードでユーザーを獲得できたのか。
それはこのアプリの”ロイヤリティプログラム”に理由があります。
Qutoutiaoの”ロイヤリティプログラム”とは
まず”ロイヤリティプログラム”とは
一般に、クレジットカードにおいては、カード利用額に応じて、ポイント還元や値引き、キャッシュバック、景品引き換えなどの様々な特典が受けられる会員向けサービス
というポイント還元などのサービスのことです。
日本のグノシーも同様のサービスを実施しており、グノシーではアプリ内のクイズに正解すると賞金がもらえるシステムが話題となっています。
リンク:賞金10万円!Gunocyの「グノシーQ」クイズアプリを稼げる徹底解説! | 実演販売士 ちょうどいい中村 ChoudoE ブログ
ただ、Qutoutiaoのロイヤリティプログラムは得られる報酬額が”常識的外れ”なものになっています。
例えば2人の友人にアプリをインストールさせると6元 (約98円)、4人だと16元(約260円)、2000人だとなんと28,000元(約45万円)の報酬を得ることができます。
トップクラスでは250,000元(約400万円)を儲けているユーザーもいるようです。
これだけ稼げるなら主婦や学生を中心に広まっていくことは容易に想像できますし、事実18Q2時点で約75%のユーザーが誰かに招待されてアプリをインストールしたユーザーだったとのことです。
この”ユーザーにユーザーを獲得させる”戦略は以前紹介したピンドォドォのビジネスモデルに似ていますね。
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業績
単位:RMB | 16年 | 17年 | 変化率 |
---|---|---|---|
売上高 | 57,954,312 | 517,052,950 | +892.17% |
粗利益 | 50,775,991 | 440,572,455 | +867.68% |
営業費用 | -61,687,002 | -535,988,852 | – 868.88% |
営業利益 | -10,911,011 | – 95,416,397 | – 874.50% |
純利益 | -10,862,379 | – 94,735,038 | – 872.14% |
1年間で売上高が9倍近く上昇しており、これぞグロース株の業績といった内容です。
一方で営業費用も9倍近く上昇しており、この内9割以上がロイヤリティプログラムの経費によるものです。
アクティブユーザー数の成長鈍化も指摘されており、今後はニュースアプリ以外の事業展開が求められるでしょう。
株価は2倍以上 -今年最高のIPOデビューに-
株価は公募価格7ドルから128%上昇し、初日終値は15.97ドルになりました。
これはゼットスケーラーの106%を超えて今年最高のIPO初日価格のようです。
一時公募価格の3倍近い値がつくなど大盛況の初日でした。
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結論
①Qutoutiao(趣头条)はグノシーに近いニュースアプリメーカー
②ユーザーを紹介するだけで報酬がもらえる”ロイヤリティプログラム”が人気
③売上高は急成長中だが、営業費用も急拡大中
④株価は公募価格の倍以上、初値からも50%以上上昇
同社の問題点はロイヤリティプログラムがユーザー獲得の原動力のため、それを止めたらユーザーが離れていってしまうが、今と同じレベルで続ければ今後も黒字化は難しいという点です。
創業者のEric Siliang Tanも問題を認識しており、質が高く専門的なニュースコンテンツを作っていくことでユーザーの拡大・引留めを行なっていく考えを持っているようです。
しかし、ニュースの質が上がるだけではユーザーは引留められないでしょうし、そもそも他社が同じレベルのプログラムを導入したら同社のアドバンテージはなくなります。
中国のApp Storeのランキングで上位につけており、この2年で知名度は十分に獲得できました。
この知名度を活かして別のサービスで黒字化の戦略を練るというのが良いのではないかと思っています。
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